近藤世死尾身の犯罪
えー、相も変わらずの、くだらないお話ではございますが
昔、江戸の町の夜を活気づけた、といえば、そう皆様ご存じの吉原でございます。
遊女3000人と言われた、その町では、朝になると
料亭や遊び場で出たゴミが道に放りだされて
それを待ってました、と沢山のカラスが狙っていたんだそうでございます。
朝のカラス達の声の五月蠅かったこと。
三千世界のカラスを殺し 主と朝寝がしてみたい
という都都逸もあったそうではございますが、、、
さて、時は現代、2020年の文月、梅雨時期でございます。
平日とは違い、比較的スムーズな道のりを
西京区まで、すーいすーいすーだらだっだーすらすらすいすいすーい、と
車を走らせておりました。
山科から東山に向けて
国道1号線、間もなくトンネルを抜けるあたりです。
朝からの梅雨空らしい、雨の中を、私のミニカー、快調なり。
道路の真ん中にゴミが散乱しており
カラス2羽が、それを漁っていました。
彼らも必死です。
私が車で迫っても、ギリギリまで空腹を満たすべく
せっせと漁っております。
運転する私にとっては、おいおい、随分と近くまで粘るなぁ、と
そんな思いで、いよいよ近くなってきたわけです。
さすがにカラス達、勢いよろしく、黒い翼を広げて
ばっさばっさ、と飛び立とうとしたわけです。
そして私の車は、そのうちの1羽が飛び立つ方向に、、、
だんっ
車の上部で、音と軽い衝撃がありました。
ああ、、、脚立の部分に当たったんだな、、、最悪。
で、運転しながら、私は思います。
その当たってしまったカラスは、その後、後方に逃げたのだろうか。
それとも、車体の上に、その身体の肉や血が、衝撃と共に激しく飛び散って、、、
考えるだけで、恐ろしい。車を止めて、わざわざ、見たくない。
隣の車、後ろの車は、私の車をそれはそれは、訝しげな様子で見ていないだろうか。
なにはともあれ、私はカラスを引いた男なのだ。
私は、カラスを引いた、男なのだ。
私は、カラスを。。。
現場の近くに到着して、コンビニの空きスペースに車を止めて
恐る恐る、車の上部を、見たよ、見たよ。。。
お分かりいただけますでしょうか
1羽のカラスが、グッタリと、そこに「ありました」
ビビりの私は近づいて様子をみることができませんでしたが
社員ゾベは、半分の笑み、すなわち半笑いを顔に浮かべて
その様子を眺めておりました。
目を見開いたまま、ぐったり倒れている、とのこと。
ああ、もう嫌だ。
私は死神に選ばれてしまったのだ。
私の背後には、暗黒のぼんやりした何かが澱んでいるように見えるはずだ。。
今日1日、きっと不幸が付きまとうのだ。。。
まだ朝なのに、1日は、すでに終わってしまったのだ。。。。
その後、まだ乗せたままの車を走らせて
現場に併設されている駐車場へ。
そこは竹藪の中に設置されていることから
端の方に車を寄せて、竹の棒を薮から取り出し
それで、ぐぐいっと、船頭よろしく、その黒い物体を押し出したのでございます。
その重み、物体に竹の棒を使用して、いくばくかのニュートンで押し出して
ぼとん、とその場に、黒い某は、落ちたのでございます。
ぼとん。
手を合わせました。
同唱十念、南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏。
そうすると、少し感じ方が変わりました。
もしかすると、彼(もしくは彼女)は、私の嫌な、陰な、色々な何かを
彼がすべてを背負って、どこかの世界に、追いやってくれたのかもしれません。
先々週から色々と悶々としていた何かを
彼が代わりに、すべてを背負って、どこかに投げ去ってくれたのかもしれません。
そんな風に、都合よく考える私ですが
改めて手を合わせました。
同唱十念、南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏。
明日は七夕ですね。
相変わらず、しとしとと無表情に雨は降り続けるかと思いますが
そんな厚い雨雲の上の様子を思い、星に願いを。
しかし低気圧のせいか、よく眠る今日この頃です。
夜10時には、すっかり布団に籠って、眠りについています。
そんな忙しない日々を過ごしている私の最近の願いは?
朝寝がしたい。