書くべき事が見つからない
長いようで短いような、余り充実しているとは言えない私の人生の中で、恐らくこれ以上ショックを受ける事はない、二度と起きて欲しくない、そんな悲惨な事態に発展してしまいました。
何を書いてもチープになってしまいますが、亡くなられた方々には、心からご冥福をお祈り致します。
しかし歴然たる事実として、今はまだ、この災害が始まった直後に過ぎません。
福島の原子力発電所が安全になった訳でもなんでもありませんし、被災された方々は、今こうしている間も、食物にも飲み物にも困窮されている状態です。
経済的な損失なんて、算定出来る状態にないどころか、これからどれだけ膨れ上がっていくのか想像もつかない状態ですし、首都圏の計画停電が来年以降も続くのがほぼ確定している訳ですから、企業の首都圏脱出も続くでしょう。
はっきり言って、戦後から現在まで続いてきた日本は、大きく形を変える事になると思います。
経済の世界を牽引していく事はもう望めないでしょう。技術力も低下するでしょう。
金もないのにばら撒き続けたODAも大きく縮小せざるを得ないでしょうし、一部の国からは見捨てられるのかもしれません。
放射能汚染によって、差別を受けるかもしれません(残念ながらこれはすでに起きています)。
直接被災をしていない私達も、当然無関係ではいられません。
この先一体どうなるのか、正直想像もつかないのです。
「俺はひとつながりのアクシデントの犠牲者だった。みんなと同じ様に。」
私はSF小説が大好きなのですが、特に敬愛するカート=ヴォネガットJrの代表作「タイタンの妖女」の主人公マラカイ=コンスタントが、世界一の個人資産の全てを一夜にして失い、火星陸軍に入り、記憶を奪われ、家族を奪われ、水星に隔離され、そして地球に帰還を果たした際のセリフです。
作中では余り良い意味で使われるセリフではない(何しろこの後すぐにタイタンに島流しという憂き目にあいますから)のですが、言葉としては、精神論としては、正しく今の日本に必要な事ではないかと思います。
誰もが被害者です。誰もが悲しいです。それでも世界は止まらないのです。
この「ひとつながりのアクシンデント」において、日本を支援してくれる国家や民族が沢山いる事を、心から誇らしく思います。
同じく「タイタンの妖女」から、水星で暮らす美しい原始生物「ハーモニウム」が使えるたった二つのテレパシーから。
「ボクハ ココニ イル」
「キミガ ソコニイテ ヨカッタ」
人が人を助けるのは、突き詰めればたったこれだけの事なのかもしれません。
日本が日本であって良かったと思ってくれる人々が沢山いるという大きな希望を残してくれた、過去の全ての日本人に心から感謝を。
そしてこの災害を受けて、今まさにもがき苦しみながらも、懸命に生きている被災者の方々に、尊敬を込めて。
「キミガ ソコニイテ ヨカッタ」
予断を許さないこのご時勢ですので、楽観的なオチはあえて省略。