防災屋について
今回は少し長文です。
先々週の金曜日、防災センターで受信機の前で仕事をしていると、警備室のテレビから「大津波警報」の文字が目に飛び込んできた。M9.0の東北地方太平洋沖地震が発生した瞬間だった。それからは、ちらちらテレビの情報を見ては、大津波に車や家屋が次々と流されていく様子を呆然と見つめ続けた。
東北地方太平洋側の壊滅状態、原発の水素爆発の様子、総理大臣の緊急記者会見、原発の構造詳細、関東の計画停電。色々なことが、今まで考えてもみなかったことがこの10日間に目の前に現れた。
これだけ日本に衝撃を与えた自然災害は、おそらく私が生きてきて一番大きなものだ。経済に与える影響は阪神大震災を上回るものになるだろう。これは自然の驚異なのか、それとも猛威なのか。いや、きっとこれが「自然」なんだろうなぁ。
さて私の大好きな細野晴臣さんのHPで、彼が今回の地震についてコメントしている。
~いいことも悪いことも含んだ雨が降っている。水によって脅かされ、同時に水によって救われる。暴走する原発をなだめるのに先端の技術は無力だった。だから江戸伝統の勇気ある火消しらが決死の出動をしてくれた。彼らが放水を続け、それが功を奏している。そんな水を穢せば自らを苦しめる。その因果を今、世界が体験しているのだ。その一点だけでも、原発に未来は無いと人類は認識できたのだ。コストを気にする人は、今後災害をコストに含めることが必須条件になる。世界がこのままでいいと思うなら、地球にヒトが住む場所はなくなる。日本人は戦争に負けて何かを知った。今回も敗北を経験し、さらに深い大事なことを知った。日本人はこの経験を忘れることはない。(2011/03/21)~
http://dwww-grumbler.sblo.jp/article/43936892.html DWWWより抜粋
東北・北関東地方の復興に向けて、まず私たちができることは募金活動のようだ。各地で様々な活動が起こっている。まるで日本人としての帰属意識の確認作業のように。(もちろん良い行動だと思っています)
次に現地にボランティアとして趣き、手助けをすること。これを現地が受け入れることができるのは、少なくとも1か月以上は後になるでしょう。被災された皆さんの心を支える活動が求められるでしょう。
そしてこの災害を始まりから終わりまで、冷静に見続けること。今回の震災以降、テレビなどで様々な被害の映像を見続けることになりました。様々な情報が、いっぺんに平穏な私たちを襲って、気が付けば記憶や精神に多少なりとも災害の被害を受けていると思っています。(現に私は津波に襲われる夢を見てしまいました)家が奪われたり、避難しなくても、私たちは今回の災害の被災者です。決して、離れることなく、しかしバランスよく、災害情報と付き合うことが大切です。
最後にこの経験を私たちは今後に生かさなければならない。今までの世の中のスタイルについて、社会についてもう一度見つめなおす時期が来たのではないでしょうか。それには、人と人が真剣に一所懸命に頭をフル回転して、色々な議論をしあう必要があると思います。そのたくさんの言葉から、過去を振り返り、未来を新たに積み上げていくことができるはずです。この時期にそれが出来ない世の中が現状なのであれば、なんとかして私たちが強く意識して、改善していく必要があるのではないでしょうか。
さて私たちは「防災屋」です。防災屋とは「未然に災害を予防する」ことのプロフェッショナルです。
弊社の企業理念をベースにして、今回の震災に対して特別なアクションを起こすのではなく、今までと同様に「皆さんに元気と笑顔を、防災活動を通じて提供し続けること」を改めて確認します。何かが起こったから、その時にあわてて準備をするのではなく、常に防災についての意識を皆様に発信しつづけ、いざ何かが起こった時に、なるべく被害を軽減させることのできるような、予め(あらかじめ)を私たちから感じてもらえることが、私たちの仕事の誇りだと考えます。
今後、日本全体でも今回の地震から誘発された、新たな地震災害が起こる可能性もあります。私たちの住んでいる関西も無いとは決して言いきれません。少しでも私たちの元気と笑顔が、皆様の防災のお手伝いができますように。そして皆様が元気に、そして笑顔になられて、間接的にでも被災地の何かプラスに影響することを防災屋として、切に願っています。